東京高等裁判所 昭和47年(ネ)1744号 判決
公営住宅またはこれに準ずるものとして法律上転貸および入居の権利の譲渡を絶対的に禁止されている本件建物を目的とする本件賃貸借契約は無効であることを理由とする異議について。
本件建物が公営住宅法にいう「公営住宅」であることについては被控訴人の明かに争わないところであり、同法第二一条第二項の規定によると、公営住宅の入居者は、事業主体の長の承認を得て当該公営住宅の一部を他の者に貸すことができる場合のほかは、他の者に対し当該公営住宅を貸しまたはその入居の権利を譲渡することができず、これに違反したときには、同法第二二条の規定に基づき事業主体の長からの請求に応じて当該公営住宅を明渡さなければならないのである。しかしながら、公営住宅の居住者が公営住宅法第二一条第二項本文の規定に違反して公営住宅を他の者に貸した場合であっても、その契約は当事者においては当然に無効とされるべき論拠は存しない。
したがって、本件賃貸借契約は、公社の長の承認を得ないで締結されたものであることが原審における≪証拠≫の結果により認められるけれども、被控訴人と控訴人との間においては有効であるといわなければならない。
さすれば、控訴人主張の前記異議は採用に値しない。
(桑原 青山 小谷)